漏斗胸のレントゲン写真

30年におよぶ漏斗胸との付き合い

漏斗胸という言葉を聞いたことがない人はこの記事を読む必要がないと思います。なぜなら、知らなければこの症状に苦しんでいる人ではないからです。私がこの言葉を知ったのはいまから30年ほど前の高校生の時でした。

 

「おまえの胸、貧弱じゃない?」

 

と、クラスメートから言われた時でした。ちょうど体育の授業で着替えをしていました。その時までに全く気付かなかったと言えばうそになります。自分の胸の陥没には気づいていました。

また同じころ、学校の健康診断で医師から「リハビリが必要だね」とボソっと言われました。胸の凹みと、O脚気味の足を指して出てきた言葉です。また、偏平足も指摘されました。リハビリといってもどうすればいいのか。どこにいけばそのリハビリを受けることができるのか。その医師からはなんのアドバイスも得られませんでした。

 

そこでいろいろと調べてみたところ、自分の胸の症状は「漏斗胸」というものであることを初めて知りました。O脚や偏平足についても調べましたが、医学的な治療ではなく、美容としての治療、というより見た目を良くするための矯正のようなものしかなく、リハビリというのはちょっと違うなと思った次第です。

 

しかし漏斗胸に関しては気になっていたので、大学へ入学後、あるとき医務室に行き、この悩みを打ち明けました。

 

「それほどひどい漏斗胸ではないので、手術までは必要ないのではないか」と言われました。1992年のことです。当時はまだ手術するしか方法がなく、ラビッチ法という大がかりなやり方でした。胸を切開し、肋骨と肋軟骨を取り出し整形したのちまた胸の中に戻すという方法。当然、大きな後が残るし危険も大きいものでした。

 

胸の凹みにより循環器系や心肺系に影響があるという記事を読みました。自身もマラソンなどの長距離が苦手で、短距離は早かったのですが、どんなに努力しても長距離でタイムが短くなることはありませんでした。胸の凹みが原因ではないか、また見た目も悪い、なんとかして治したいと思っていましたが、それほど重篤ではなく、また手術も大変だと分かり、そのまま我慢することにしました。

 

 

現在の手術方法

現在はナス法というアメリカのドクター・ナス (Nuss) 氏が考案した手術方法が主流になっています。私は、大学の医務室で医者から諭されて以降、漏斗胸に関して関心が無くなっていたので、気が付きませんでしたが、1990年代後半から日本でも徐々に取り入れられるようになったようです。2000年代になると、ラビッチ法はほとんど使われなくなり、いまでは漏斗胸の手術と言えば、ナス法しかないのではないと言われています。

上のレントゲン写真は私がナス法の手術によって入れた金属のバーが見えます。ナス法は両脇に小さな穴をあけて、30cmほどの(人の体形により長さは異なる)チタンのバーを挿入し、凹んでいる部分を持ち上げて、内部で固定します。イメージとしては歯科矯正に近いのですが、徐々に形を矯正するのではなく、一気に矯正し、その位置を固定するためにバーを入れます。歯科矯正でいうリテーナーのようなものです。

 

 

多くの人は2本入れます。1本で済む人もいるようですが、逆に3本入れる人もいるそうです。入れるバーの本数が多ければ多いほど手術時間がかかります。私の場合は入れるときは4時間以上かかりました。この手術については後でもう少し詳しく話します。

 

私は歯科矯正もしたことがありますが、歯科矯正と同様、手術後、長い期間このバーを入れておかなければいけません。一般的に3年と言われています。中には取り出さない人もいるようです。

チタン製のバー

材質はいまではチタンがほとんどです。チタンは軽く丈夫であるばかりか、空港の金属探知機でも反応しない場合が多いので、非常に有用です。私はバーを入れていた3年間、飛行機に何度も乗りましたが、日本の空港はまず問題なくゲートを通過できました。但し、インドに出張でいったときは国際線、国内線ともゲートで必ず引っ掛かりました。そのたびに診断証を見せていましたが、本来であればこれぐらい厳密に検査をすべきだと思います。というのは、チタン製の刃渡り30cmのナイフが2本あるのと変わらないからです。上着に忍ばせれば簡単に機内に持ち込めてしまいます。閑話休題。

ナス法と手術費用

さて、ナス法という新しい手術方法があることを知ったのは、2015年のことです。きっかけはある新聞記事でした。漏斗胸という症状に関する特集記事のようなものでした。「こういう方法があるんだぁ」と、少し気になって調べたところ、上述のようにいまでは主流の手術方法で、全国でもいろんな病院で手術を実施していることがわかりました。但し、この記事では若い人が患い、若い人向けの手術であるという前提で書かれていて、40を超えた自身にはちょっと手遅れのような感じがしたのを記憶しています。

 

というのも、この手術は保険適用であるばかりか、18歳未満であれば自立支援医療(育成医療)の対象になり、わずか約2500~10000円の自己負担で済むのです。バーを入れる手術は実際には120万円ほどかかるので、破格の値段です。18歳以上でも3分の1の負担で済みますが、さらに高額療養費制度を使えば実質15万円程度(所得や保険の種類のより異なります)になります。組合健保であればさらに還付金もあります。ここに日本の健康保険制度の素晴らしさがあり、私も手術をしたことで実感しました。閑話休題。

 

ナス法を実施している病院と患者の年齢

「18歳未満でなくても手術は可能ではないか?」という思いから、さらに調べてみると、最高齢で80歳の患者さんの手術を実施したという病院がありました。また、他の病院では70歳以上など、50歳を超えている人でもかなりの数の患者さんがいることが判明しました。また、施術数で何百という数をこなしている病院のデータを見ると、患者の平均年齢は30歳前後。決して若年層に限った手術ではないこともわかりました。

 

その時点で私は40を超えていましたが、保険適用であること、心肺機能の改善につながるならと、意を決して手術をすることを決めました。実はちょうどそのころ、健康診断で2年連続心臓の不整脈がみつかり、精密検査をしたところ、心臓の一部を肋骨が圧迫していることが分かったのです。そうしたことも決心の後押しになりました。

そこでいろいろと調べてみると、施術数が多い病院が全国で2つあることがわかりました。一つは岡山県にある川崎医科大学付属病院、もう一つは愛媛県の松山市にある松山笠置記念心臓血管病院です。ともに数を競っているような印象です。

 

ナス法の危険性

どうせ手術をするなら経験豊富なところでやってもらったほうが安心です。実は知人のお医者さんやネットで心臓外科医の先生に問い合わせをしたところ、「ナス法は当初失敗が多かった」というのです。「脇に穴を開けて、バーを挿入し、固定する。という一見3ステップで終わってしまう簡単な手術と思われがちだが、心臓の近くにバーを通すため、大動脈を誤って傷つけてしまったり、固定したバーが外れてしまったり…」と、思わぬ医療事故が多発していたとのことです。なんでも施術数をかせぐために心臓外科医の先生がこぞってやったとか。。。友人のお医者さんの話では、「心臓そのものの手術ができないお医者さんがやる」というちょっと卑下した見方をしていることも聞きました。つまり、心臓そのものの外科手術は大変困難なので、漏斗胸という簡単な手術で術数をこなしたというのです。

 

いまでこそ、安全になったといいますが、手術は全身麻酔です。全身麻酔そのものの危険もありますし、もちろん手術そのものの危険もまだあるでしょう。そうしたことからも熟練した医師に施術してもらいたいというのは患者として当然の思いです。

当時、私は関西に住んでおり、「川崎」という文字を見て「神奈川かぁ」と思い愛媛県に比べるとちょっと遠いという印象を持ちました。また、川崎医科付属病院のほうは、件の新聞記事同様、若年層向けの手術という印象を持ちました。ただ、医学部の中では全国トップ級の学費(6年間で5000万円近く)を集めているだけあり、建物や設備は豪華に見えました。そうしたことから、より関西に近く、若年層向けとは限らない印象を受けたため、松山の病院にすることにしました。

 

 

ナス法の改良版

実はあとで、川崎医科大学附属病院は岡山県にある、ということを知りました。関西からなら「松山よりも近いじゃないか!」と少し後悔しましたが、松山のほうに決めた理由は他にもあったのです。筋層下ナス法というナス法の改良版ともいうべき方法を取り入れていたからです。詳しくは該当のサイトをご覧ください。簡単にいうと、筋肉の上からバーを押し上げるのではなく、その下から(内側から見た場合は上)骨(肋骨と肋軟骨)を押し上げることで、筋肉によるバーのずれを防げるというものです。

筋肉の動きによるバーのずれは6%の頻度で発生しているので、この方法を考えられたそうです。笠置先生に聞いたところ「手術点数も変わらないし、時間もかかるし…」と言われ、利益のためにやっているわけではないようなことを話されていました。

また、通常はバーの固定のためにステビライザーという金属のものを使うのですが、筋層下ナス法の場合は糸で固定します。「糸で大丈夫なの?」と思いましたが、金属製の場合凹凸が皮膚の表面に浮かぶことがあり、身体に負荷がかかるとのことです。

 

 

手術前の診断と漏斗胸の症状ランク

全身麻酔をして数時間の手術のため、いきなり予約をして入院するのではなく、事前の検査が必要です。上半身のCTスキャンなど、年に一度の健康診断以上に綿密な検査があります。また、漏斗胸の症状の具合を4段階のグレードで判断する考え方があります。4が一番重く、1が軽度で、2以上が手術したほうがいいと言われています。私の場合は3に近い2という判断で手術すべき症状でした。

 

漏斗胸の人が世の中にどれぐらいいるのか?確かな情報はなく、正確な数字は誰もわからないと思います。1000人に一人という情報もあれば、0.4パーセント(1000人に4人)という人もいます。ただし、グレード1の人を合わせた場合、感覚的に「100人に一人」というのが私の見立てです。スーパー銭湯などで胸の凹みがある人に出くわす確率から推測した数字です(笑)。閑話休題。

 

松山笠置記念心臓血管病院は漏斗胸だけをやっている病院ではないのですが、全国的にはこの手術を多数こなしている病院として有名です。そのため、毎日のように手術をしています。多い日には一日3回するそうです。この回数にはバーを入れる手術と抜く手術の両方があり、後者のほうが短時間で済みます。そのため、事前検査の1か月後に入院することになりました。

 

 

実際の手術

術後のレントゲン写真

実際の手術は4時間を超える比較的長めのものでした。ただ、全身麻酔中はまったく記憶がなく、気が付いたら個室のベッドに横になって看護師さんが私を必死に起こしていました。同時に胸の痛みと呼吸の苦しみに襲われました。痛み止めだけでなく、複数の飲み薬、定期的な下剤を与えられ、身体には点滴だけでなく、体内の損傷した不要な組織を外に出すためのチューブが挿入されている他、術後直後は尿道にカテーテル、呼吸補助器具などが装着され、文字通り身動きがほとんど取れない状態です。

 

そうした中で最もつらかったことは、翌日に胸部のMRI検査を受けなければいけないことでした。手術当日はもちろんのこと、翌日も痛みやだるさ、吐き気はすさまじいものでした。あまりにもつらく「検査を伸ばしてくれ」と頼んだのですが、担架に乗せられ無理やり連れていかれました。いままでの人生でもっとも身体的につらい出来事でした。また、毎日の下剤、ネブライザー(簡単に言うと呼吸の練習)の訓練のために病院を歩き回るのはほんとうにしんどいものでした。

それでも日を追うにつれ段々と痛みも引いていき、9日後には退院することができました。会社からは2週間の休みをいただき、2週間ぶりに通勤したときはほとんど痛みはなかったのですが、身体が弱っており、駅までの歩いているときに何人もの人に「抜かれ」ました。私はどちらかというと歩くスピードは速いほうで、抜くほうがほとんどです。ぺちゃくちゃ話しながら歩く女子高生に抜かされたときは愕然としました(笑)。閑話休題。

術後の状況

横からのレントゲン写真

さて、2本のバーが身体の中にあるのは実感としてわかります。痛みはなくても違和感はあります。また、糸で止めてあるので、「糸が切れたらどうしよう…」という不安からあまり大きな運動をする気になりません。また胸の陥没がなくなったかというとあまり見た目は変わりません。先生いわく「1.5センチぐらい上がった」ということで、「それだけか」という印象です。胸や呼吸が楽になったかと言えば、あまり実感がありません。もともと3に近い2というグレードなので、そもそも絶対に手術しなければいけないという症状でもなかったのだろうと思います。中には納得がいかず2回手術をする人もいるそうです。私はあの術後の苦しみを味わうのはもうごめんなので、二度と手術をすることはないでしょう。ただ、入院という貴重な体験ができたのは良かったと思っています。


2回目の手術:脱バー

前述の通り、バーを入れたあと、しばらく留置し、その後取り出さなければいけません。取り出さない人もいるそうです。理由はいろいろあるのでしょうが、おそらく取り出すことでまた凹みがもどっとしまうのではないかと危惧するからでしょう。私もその懸念は理解できますが、バーが入っているという違和感を取り除きたかったので、3年後に脱バーの手術をすることにしました。

脱バーの手術について医師や看護師、また病院内で知り合った他の漏斗胸患者さんに尋ねたところ、「入れるより楽」ということでした。逆に「もっと痛い」といことであれば、生涯バーを留置したままにしたかも知れません。火葬場で自分の骨と一緒にチタン製のバーも拾ってくれればと(笑)。閑話休題。

実際、脱バーの手術は入れるよりもはるかに楽だったと思います。もちろん手術直後は痛みや吐き気があり、楽というのは相対的なものです。おそらく入れる手術の半分ぐらいのつらさではないでしょうか。ただ、一番の違和感は胸の凹みが戻ってしまったのではないかと思うほどの圧迫感を感じたことです。その瞬間、「バーを出さなけよかったかも」あるいは「出すのは早すぎたかも」と思いました。

とはいえ、鏡で胸を見ても出した後もそれほど形や外見に変化は見られませんでした。


2回目の手術後の状況

圧迫感はありましたが、バーが入っている違和感はなくなりました。また、退院してから体力が戻るのも早かったです。最初の手術の後はしばらく歩行スピードが遅く、完全に体力が回復するには数か月かかりましたが、2回目の後はおそらく1か月程度で通常の体力に戻ったのではないかと思います。

ただ、結局1回目の手術前と状況が改善したかと言うと、見た目にも感覚的にも変わりがなかったのです。「そもそも手術をする意味があったのだろうか」と考えるようになりました。


ナス法以外の方法

断っておきますが、手術が全く無意味ということがいいたいのではありません。患者さんの年齢や症状の程度や、手術の仕方、病院、医師によって結果は大きく変わってくるでしょう。ただ、個人的には今回の手術はあまり意味のあるものではなかったのではないかという印象です。そこで、手術以外に直す方法があるのか、いろいろと調べてみました。


運動による改善

運動は、それ自体で漏斗胸の症状を改善する手段とは考えられていませんが、腕立て伏せや、立ったままでの背筋運動などを推奨しているところもあります。運動による姿勢の改善、背中と胸部の筋肉の強化により、見た目の改善は期待できるようです。

 

陰圧を利用する方法

ドイツ人のエッカート・クローベ(Eckart Klobe)氏が開発したバキュームベルという器具があります。1990年代に考案され2002年に特許を取得し、世界中に普及しています。特許関係はよくわかりませんが、ペクタスエッグ(Pectus Egg)なる類似品があります。彼の特許はヨーロッパやアメリカでは有効ですが、日本を含むアジアでは効力を持っていないようです。パリ条約に加盟していますが、特許を認めるかどうかはそれぞれの国の判断によるためです。

 

この陰圧を利用する方法はなかなか優れたもので、胸を内側から持ち上げるには体内になんらかの「媒体」が必要ですが、空気を利用しているわけです。空気であれば胸の中にも身体のどこにでもあります。つまり外側の空間を真空にちかい状態にすることで胸の内側との大気圧の差を生じさせるわけです。吸盤の要領を同じなので構造的には極めて単純です。

 

 

器具を用いる方法

ブラジル人の医師Sydney Hajeshiga氏が考案した方法で、詳細はよくわからないのですが、外側から矯正する器具のようです。ただ、どちらかというと鳩胸(漏斗胸の反対)、つまり胸が突き出ているような症状に対して有用のようです。

 

 
整体による矯正

調べてみたところ、漏斗胸を整体で治すと謳っているところがあるようです。実際にその整体を体験してきた人がいます。このYouTubeの映像をみると確かに胸が盛り上がっている感じがしますが、全体的に上がっているだけであり、凹んでいる部分だけを持ち上げることにはなっていないと思います。

 

 
磁石を使う方法

凹みがある胸の部分の内側に磁石を埋め込み、外側に別の磁石を付けて持ち上げる方法です。なかなかユニークな方法ですが、磁石の強さだけではなかなか持ち上げることはできないのではないでしょうか。ほとんど普及していないようです。

 
最新の手術:Taulinoplasty

医学の進歩を実感する出来事です。スペインのバルセロナの医師が2016年と割と最近考案した手術方法で、ナス法よりも患者への負荷が少ないという触れ込みです。胸骨に穴を開け、そこに杭を打ち、そのまま持ち上げて固定する方法です。リンクの動画がとても分かりやすいので興味があるかたはご覧ください。まだ日本で導入している病院はないと思います。

その他、整形手術による方法もあるようですが、見た目の改善であって根本的な治療ではないようです。

 

バキュームベルの欠点

実は、私はこの器具を購入し、いまでもたまに使っています。エッカート・クローベ氏ともメールで何度かやり取りをしています。というのも、つけ方がうまくいかずアドバイスを求めたためです。日本での購入は上述のリンクにあるソルブという会社が独占販売しています。価格は11万円です。保険適用ではないため、購入する際にためらいはありましたが、ナス法で手術をした後に徐々に前の状態に戻っていると実感した人が使用していると聞き、思い切って購入しました。

ゴム製のもの

実は類似品を販売している海外の個人から同じようなものをその前に購入したのですが、ゴム製で硬く、サイズが合わなかったため返品しました。ラトビアの個人で、eBayで販売していましたが、EUに加盟しているためおそらく特許違反でしょう。

 

本物のバキュームベルはシリコン製でとてもやわらかく皮膚にもフィットしやすいものです。さすがに本家本元とあって作りもなかなかなもの。単純な構造ですが、シリコンの厚みが内側にいくほど増しており、それも比例したものではなく、曲線を描いています。芸術品というと大げさですが、他の類似品と比べると美品といってもいいかと思います。

 

ただしバキュームベルも万能ではありません。万能であれば、手術する必要はありません。漏斗胸の程度がひどければ、手術しなければ治らないということもあるでしょう。また、サイズがいくつかありますが、漏斗胸の症状は人により千差万別です。カスタマイズされたものはないので、サイズや形が合わないということもあるでしょう。

 

しかし、最大の問題点は真空になっている(陰圧状態になっている空間)部分のみ盛り上げるという点です。もっと言えば、接地面は同じ大気圧が内側と外側からかかっており、盛り上げるために接地面が実際には沈もうとする力がかかることです。また、もう一つ大きな問題があります。

 

漏斗胸の人は胸骨の先が凹んでいる人が多いと思います。そこの部分に陰圧をかけて盛り上げようとバキュームベルを装着すると、おなかの部分、つまり骨がまったくない部分にも接着面がかかります。そうすると、骨がない部分は沈み込み、周辺の骨を上から圧迫します。つまり、盛り上げるために凹み以外の部分に大きな負荷をかけるのです。

 

そのため、私はたまにしか使っていません。また装着には結構なコツがいります。うまくつけられれば多少は有用なのですが、下手に付けると逆に症状が悪化すると思います。

 

実はこの器具は医療機器クラス1、つまり一般医療機器です。コンドームがクラス2とされているので、医療機器の中では危険性が少ないとされています。ですが、大気圧は相当な力です。下手な使い方をすると身体に相当なダメージを与える危険性があると思います。

 

私案の漏斗胸矯正方法

さて、実は私もどうにかして治せないものなのか考えました。もちろん手術ではありませんし、完全に治るものではないとは思います。ただ、改善は実感しました。

 

1つめは凹んでいる部分にガムテープを貼り付け、それを皮膚ごと引っ張るという単純なものです。貼り付けた部分の皮膚が引っ張られることでかぶれます。また赤くなります。そして何より、ガムテープの強さが足りず十分な力がかかりません。

ただし、寝そべった状態で、ガムテープに糸をつけ、糸のもう一方の端を上部(壁など)につけることで上向きの力を出し、楽になったことはあります。ただ、あまりにもガムテープの力が弱いため、一定の力が加わると破けたり、はがれたりしてしまいます。

 

100円ショップで買える矯正方法

2つめの方法はいまでも毎晩寝るときに試しているほうほうで、痛みもなく、呼吸がとても楽になります。やり方はビデオで見せたほうがわかりやすいので、知りたい人はご連絡をください。自分が写っているビデオをここで公に見せるのは憚られるため、リクエストをいただいた方のみにお知らせします。100円ショップで購入できるもので、200円で済みます。

以上、ここまで読んでいただきありがとうございました。